日本のD&O保険の平均補償額5億円は高いのか?
2017.08.01

D&O保険は役員の個人賠償リスクに備える商品で、近年は社会取締役を設置する必要がある大企業を中心に契約件数を伸ばしているっ注目の法人保険です。
役員の認知度も6割を超えておりD&O保険が一般的になりつつあります。
このD&O保険ですが、東京海上日動の発表によると補償額の平均は5億円だそうです。
一見すると高額に思えますが、訴訟大国であるアメリカでは100億円を超えているため国内の補償額は圧倒的に低いということが分かります。
細かくデータを見ていくと、支払限度額は3000名以上の大企業で平均9.5億円となっており、このうち1割は20億円以上の高額な補償を設定しています。
それでもアメリカの100億円と比較するとまだまだ少ないことが分かります。
ちなみに保険料を会社が全額負担している企業は4割となっています。
2016年2月に国税庁が公表した是税務上の取り扱いは5割しかまだ認知されていません。
したがって、今後はD&O保険の保険料を会社で全額負担する流れは増加することが予想されます。
また、東京海上日動が公表したデータでは他にも面白い結果が色々と出ています。
まず、保険会社を選んだ方法としては、「過去の取引関係」や「保険料の安さ」よりも「信頼度」や「補償の充実度」をあげている会社が多く、よりリスクに備えたカタチとなっています。
D&O保険への加入時期は、1年以内が10%、3年以内が28%となっており、最近になって加入している企業が多い傾向にあります。
これはD&O保険の認知度上昇や、東芝をはじめとした大企業の株主代表訴訟といったケースを踏まえて対策に乗り出した企業が増えたことが理解できます。
また、損害保険会社は外資系も多く参入していますが、6割を超える企業が国内損保会社のD&O保険を選んでおり、特に大企業ほど国内の保険会社へ加入しているそうです。