海外のD&O保険事情について
2017.10.10

日本でもたくさんの保険会社がD&O保険を取り扱っていますが、海外のD&Oについてもご紹介したと思います。
まず、アメリカ合衆国においては、役員責任に対する会社補償が広く認められています。
役員の職務上の義務違反によって生じた損害賠償額や和解額などを会社が補償することを認める立法が次々と制定されており、現在では、全州で役員の職務上の義務違反による損害賠償額などに対して会社補償が認められています。
具体的には、役員が勝訴した場合の防衛費用と定款に規定された補償内容については会社側に補償義務があります。
大半の上場会社の社内規定において保障規定が置かれているようです。
アメリカ合衆国のD&O保険は広い範囲での会社補償を前提として作られているため、日本におけるD&O保険とは根本的に構造が違うようです。
アメリカ合衆国のD&O保険は一般的にsideA、sideB、sideCの三つに分かれています。
sideAは、役員自身が被る損害をカバーするものであり、役員自身が被保険者となります。
sideBは、会社が損害を補償したことによって被った損害を補償するものとなります。
sideCは、会社が第三者に対して損害賠償責任を負った際の損害をカバーする内容となります。
役員の責任を追及する民事訴訟が頻発し、損害額も高額になりやすいアメリカにおいては、5億、10億といった支払い限度額を設定する日本とは異なり、さらに高額な支払い限度額を設定してD&O保険を付保する場合が多いようです。
更に、アメリカ合衆国の企業はリスクの一元管理を好む傾向があるので、一つの証券でできるだけ広い範囲のカバーを得ようとする傾向があるようです。
親会社と子会社が同一のD&O保険によってカバーされているケースも少なくないようで、支払い限度額をかなり高額に設定していることで総支払限度額の分配に関する問題を回避できているようです。
次にドイツのD&O保険ですが、ドイツにおいても始めはアメリカ合衆国の保険会社によってD&O保険引き受けが行われていたが、役員の責任が問題となり訴訟が増加するようになるにつれ日本と同様D&O保険に注目が集まるようになりました。
契約の構成に関しては、日本のように基本契約と特約部分について分けて規定するものではなく、一つの契約によって構成され普及しているようです。